大変そう。でも何をしたらいいの?糖尿病の食事制限について知ろう!

典型的な生活習慣病の一つであり、誰もが耳にした事のある糖尿病。糖尿病患者は周りにもいませんか?着実に患者数が増えている糖尿病ですが、実はその中身をよく知らないという方も多いと思います。糖尿病になったら食事制限がとても大切になるのですが、今日はその糖尿病の食事制限についてご説明します!

はじめに
いったん糖尿病を発症してしまった場合の治療の基本は「食事制限」と「適度な運動」、その上で血糖コントロールの目標を達成できない場合に「投薬治療」となります。耳にした事のあるインスリン注射も投薬治療の一種です。一言で食事制限と言っても実際には何をすればよいのでしょうか?同じ食事制限でも体重を落とすためのダイエット食とは異なります。

今日は、その糖尿病の食事制限についてご説明します!

糖尿病の食事制限とは?
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糖尿病の治療は、食事制限・運動・薬物療法で血糖をコントロールし、合併症を予防する事です。この3つをうまく組み合せなければ、効果は期待できません。食事制限は血糖の上昇に直接係ってくるため、特に重要になってきます。糖尿病の食事制限は特別な食事があるわけでなく、一日の摂取エネルギーを守り、過剰な摂取を避け、栄養素をバランスよくとる事が大切です。

バランスのよい食事とは
主食(ご飯やパンなどの穀物類で主に糖質類を含む食品)
主菜(献立の中心となるおかず、魚や肉などのたんぱく質、 脂質を含む料理)
副菜(野菜や海草、きのこ類の料理)を組み合わせた食事です。   

1日3食、このような食事を組み合わせて、なおかつカルシウム源となる牛乳、乳製品および、果物を適量摂るように心掛けます。糖尿病の食品交換表や食品成分表を利用して正しい食事制限を身につけましょう。

糖尿病の食事制限とは?

食事のカロリー計算
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すでに糖尿病でより細かな食事制限の必要のある方は、日本糖尿病学会が編集した「糖尿病食事療法のための食品交換表」を、手もとに置いておくといいでしょう。すでに合併症が起こっている場合も含め、発症後の食事制限は、塩分や脂質の摂取がより厳しくなるからです。この本には「80キロカロリーに相当する食品の量」が示されているため、カロリーの計算がしやすくなっています。

ちなみに、一日に必要なエネルギーは「標準体重(身長m×身長m×22)×25~30kcal」で求められます。身長が165㎝の場合は、1.65×1.65×22×25~30=1,500~1,800kcal/日といった具合です。

カロリー計算や献立を考えたりするのが面倒…という方は、「糖尿病食の宅配サービス」を利用するのも一法です。たまに利用してみることで、一種の気分転換にもなります。

糖尿病食はそれ自体が、栄養バランスと塩分・カロリーなどが適量に計算された食事ですので、糖尿病を患っていない人にとってもヘルシーです。家族の誰かが糖尿病である場合は、たとえ週に数回程度でも家族で同じメニューの糖尿病食をとるようにすると、患者の生活改善に向けた意識を、家族みんなで共有できることでしょう。

できれば、「この食品・食事は、一人前のカロリーが大体これくらい」という事を自分で直感的にわかるようになっておくと、外食のときも一日の摂取エネルギーのコントロールがしやすいでしょう。最初はたいへんであっても、自分自身でカロリー計算を行うくせを身につけておくと、主なメニューのカロリー数は知らず知らずのうちにおぼえていくものです。

糖尿病 4分でわかる食事と食事制限のポイント

糖尿病の食事制限指導は誰がしてくれるの?どこで受けられるの??
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<誰がしてくれるの?>

入院施設がある総合病院には、入院患者さんの食事をコントロールしている管理栄養士という職業の方がいらっしゃいます。管理栄養士とは厚生成労働大臣からの免許を持ち、病気や怪我で治療する方の栄養指導を専門的に行う国家資格を持った食事指導のプロフェッショナルです。

治療にあたる医師からも食事制限に関する指導はされるのですが、管理栄養士さんからは患者さん一人一人の生活習慣や環境に合った食事制限指導を受けることができます。

<総合病院じゃないと受けられないの?>

上では総合病院での食事指導について書きました。「じゃあ、今通ってる病院じゃ受けられない!」と思ってしまったかもしれませんが大丈夫です!総合病院ではないクリニックや診療所に通院している患者さんも、今通っている病院から転院しなくても食事制限指導を受けることができます。

これはクリニックなどによって様々なので一概にこうとは申せませんが、他の病院など外部の管理栄養士さんと提携していることが多く、医師を通して申し込めば出張して食事制限指導を行ってくれるようです。

糖尿病の方の食事について | 看護師が書いた糖尿病闘病記

糖尿病の食事制限の秘訣
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● まず間食をやめましょう
3食のカロリーは比較的良くても、お菓子・果物・牛乳・ヨーグルト・トマトなどの間食でかなりカロリーオーバーになっている方が多いようです。偏見といわれるかもしれませんが、女性にその傾向が強いようです。血糖値は1日のうちでも、食事によって大きく変動します。間食が多いと血糖値が下がる時がなくなってしまい、膵臓が休まる時間がありません。

● 食事は時間をかけてゆっくりと
1回の食事はよくかんで20分以上かけて食べましょう。その理由は満腹感(満足感)は血糖値が上昇することによって得られるからです。5分で食べ終わってしまうと血糖値がまだ上がってこないので満足感は得にくいのです。食事の前に甘いものを食べると食欲が落ちるのはこのためですね。

● 「甘いものは食べてはいけない」は間違い
糖尿病は甘いものを食べてはいけないと思われがちですが、嗜好品として過量に摂取するのがよくないのです。でもやはり甘いジュースを1本(200ml)飲んだり、まんじゅうを立て続けに2個食べたりすると血糖値はかなり上がってしまいます。量を加減して下さい。

● 「ごはんをへらせ」はまちがい
医者から「ごはんをもっと減らしなさい」といわれて、小さなごはん茶碗に半分しか食べない方がおられます。しかしなぜか体重は減らないし血糖も良くなりません。よく話をきくと「おかずは若い人と同じにしています」といいます。医者の言う「ごはん」は”朝ごはん”の”ごはん”を指していてパンを食べても朝ごはんです。食事全体を減らしなさいと言っています。もちろんこういった誤解が生じるのは医者の言い方がまずいのです。主食のご飯やパン、いも、かぼちゃなどはまんじゅうと同じ糖質です。ご飯もほどほどに減らす必要はありますが、それよりも同じ量でもカロリ-の高い蛋白質(肉・魚・卵などの動物性、大豆も蛋白が豊富)や、脂質(揚げ物、肉の脂、ドレッシング、マヨネーズなど)を減らす方が効果的です。要するに、人間の進化とともに、”美味なもの=カロリーの高いもの”が増えてきたのですね。揚げ物よりも焼き物や煮物にしましょう。

● ケーキより和菓子がよい
先にも書きましたがお菓子も食べて結構です。栄養学的な指導ではお菓子を食べない形で指導します。でも全く味気ない生活も嫌なものです。食後にようかんと煎茶などおつですね。ただし、ようかんは2cm程度に切った一切れで1日に1回にしてください。また、間食に食べずに食後に食べてください。基本的にはようかんの分のごはん(糖質)は減らしてください。ケーキなどの洋菓子は甘さ控えめのものでも玉子・クリームなどをたっぷり使っているので、かなりカロリーが高いです。その点、ようかんや饅頭は、豆と砂糖が主原料で糖質がメインです。甘いので満足感も得やすいし、主食のご飯と同じようなものです。

● 野菜にはカロリーがない?
いえいえそんなことはございません。味があまりないものはカロリーがなさそうに感じますが、トマトなんかは果物とあまり変わりません。健康によいからと夏に大きなトマトを3つも4つもまるかじりする方がいますが、ジュース2、3本を飲んでいるようなものです。もちろん、竹の子やこんにゃく(野菜?)など、非常にカロリーの少ない野菜もあります。

●「健康によい食品」に注意!!!!!
「ヨーグルトは体にいいと聞いていますから、くだものの入ったのを1日に2~3個食べています」という方や、「健康のため牛乳を毎日500ml飲んでいます」という方もおられます。これを読んで「えっ!だめなの?」と思う方は問題ありです。今の世の中は「体に良いものを積極的にとりましょう」といった風潮にあるようです。テレビのCMなんかも大きく影響していると思います。また健康雑誌・健康食品産業が花盛りで大いに繁盛しているようです。もちろん体によい成分が含まれていると思いますが、余分なカロリーをいっしょにとってしまいます。普通はバランスよく食事していれば、健康補助食品を摂らなくても体調をくずすようなビタミン不足に陥ったりすることはありません。カルシウムをとるなら、おかずの一部を小魚にするなどで、十分対処できます。

糖尿病の食事制限の秘訣

血糖値を抑える食べ方
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● 1口30回噛む
早食いをすると、インスリンの分泌が間に合わないため、急激に血糖値が上昇します。1口30回噛むこと、つまりゆっくり食べることで血糖値の急激な上昇を抑えることができるというわけです。

● 食物繊維の多い野菜から先に食べる
糖分が食物繊維に絡まり、通常よりゆっくりと吸収されるため、食後の血糖値の上昇を抑えることができるそうです。

● 食後一時間以内にエネルギーを消費する
食後一時間以内に運動や入浴をすると、血糖値は抑えられるそうです。運動や入浴で汗をかくと、エネルギーとして糖分が消費され、血糖値が抑えられます。

糖尿病の食事・食事制限|カロリー計算・血糖値を抑える食べ方 – 病気・症状 チェック

糖尿病によいとされる食べ物について
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「カボチャ」は、昔から糖尿病によいと言われています。軽い糖尿病なら、一日にティースプーン2杯程度のカボチャの粉末をとると効果があると言われています。カボチャの粉末は健康食品としても売られているので、利用する場合はこちらのほうが手軽でしょう。

また、「ドクダミ」も体の新陳代謝・インスリンの分泌を高めるため、糖尿病によいとされます。

もちろんこれらの食品を単独でとればよいというものではなく、上で述べたような食事制限の基本を守り、きちんと一日三食をとる中で、サプリメント的に利用するのがよいでしょう。

糖尿病 4分でわかる食事と食事制限のポイント

おわりに
今回は、糖尿病の食事制限についてご説明してきました。いかがでしたか?

糖尿病を発症してしまったら食事制限を続け、そして定期的に体重を計ったり血糖値や尿糖を調べるなどして、意識を高く持つことも大切です。また、この食事制限は血糖値がギリギリの糖尿病予備軍の方にでも参考にして頂ける内容です。

予備軍の方も、食事制限、運動療法、ストレスをためない等常に意識を高め、できるだけ予防にふるまいたいものです。食事制限を含め生活習慣を改めていくことは、糖尿病のみならずさまざまな生活習慣病の予防策としても有効ですものね!がんばりましょう!