バセドウ病の検査。確定診断が付くまでの5つの検査とその理由

女性に多いと言われるバセドウ病。普通の健診で見つかる事は少ないですがバセドウ病と診断が付くまでの検査とはどのようなものなのか。バセドウ病を疑うきっかけとそれに合わせた検査項目など。
数値が教えてくれるのは今の体の状態と奥が深い検査の内容を紹介します。

はじめに。バセドウ病とは甲状腺ホルモンが出過ぎる病気です。
バセドウ病はホルモンを司る甲状腺に炎症を起こす病気の為、体にいろいろな症状を引き起こしますが、自律神経失調症や更年期障害などを含めたほかの病気と混同され、なかなか見つけにくい病気でもあります。

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バセドウ病を含む甲状腺の病気はまだ全てが解明されていない為、発病する原因が特定されていません。
自覚症状が出ている場合は甲状腺の検査をしないと分からない場合があります。

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バセドウ病の症状の一部

バセドウ病の治療|バセドウ病|ドクター’s コラム|eo健康

セルフチェック方法

バセドウ病は通常の健康診断では発見され難い病気です。
自分でダイエットをしていないのに急激に痩せてきた、汗が止まらない、喉が渇く、疲れやすいなど糖尿病を疑わせる症状がでます。
また、代謝が速い為すぐお腹がすく、お腹が緩いすぐに下痢をする、等の症状が出る、脈が速く動悸がするなど心臓疾患を疑わせるなど症状は多岐にわたり、個人ではなかなか判断できません。
どの様な検査が必要なのでしょうか?
自分から健康診断時に医師に聞いてみる事も大切です。

健康診断ではなぜ見つからないの?
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健診結果

健診結果は役にたつので手元に保管しておきましょう。
過去の数値と照らし合わせる事で体の変化がわかります。

健康診断の数値で唯一バセドウ病かどうかの判断と関わりのあるのもはコレステロール値です。
検査結果をお持ちなら今すぐ確認してみましょう。
バセドウ病では代謝が活発になる為「コレステロール値」が低くなります。
また骨の代謝も活発になる為「ALP値」=アルカリフォスタファーゼも高くなります。
他にも血糖値が上がって尿に糖が出る場合もあります。
原因が特定されなくてこれらの数値に異常が出た場合はバセドウ病を調べる検査をお薦めします。
【基準値以下なら注意】
総コレステロール値    <120mg/dl
HDL コレステロール値   <40mg/dl
LDL コレステロール値 < 70mg/dl

【基準値以上なら注意】
ALP値 アルカリフォスタファーぜ >360U/l
血糖値                 >103mg/dl

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バセドウ病の可能性はあるものの他の病気の可能性もある為一つづつの消込みが必要?
時間もお金もかかって大変です。
一度でわかる方法はあるのでしょうか?

バセドウ病かの振るい分けには TSHを調べてもらう
TSH(甲状腺刺激ホルモン)は脳下垂体から出ているホルモンで甲状腺の働きを調節しています。
下垂体は甲状腺ホルモンが正常かどうかを見張るセンサーの役割をしています。
甲状腺ホルモンが少しでも過剰になれば、このTSHの数値が低くなりバセドウ病である事がわかります。
つまりTSHの数値が正常かどうか調べればバセドウ病かどうかわかります。
この検査は近くのクリニックでも受ける事が出来ます。

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バセドウ病かどうかの検査「スクリーニング」
首が腫れているなどの代表的な疾患が出ている時は問診だけで判断できる場合がありますが、症状の重症度や確定診断を付けるために検査を行います。

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TSHが下がるとバセドウ病の可能性があると出ていますが、確定診断にはより詳しい検査が必要なようです。

バセドウ病のスクリーニング1. 血液検査
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採血

バセドウ病と診断されたら定期的に採血をうけその数値から甲状腺の状態を調べます。

採血ではFT3、FT4の甲状腺ホルモン値を調べます。
バセドウ病は甲状腺機能亢進症ですから数値は基準値を上回っているはずです。

その他の検査項目ではTSHやコレステロール値肝臓の数値ALT,ASTなども調べます。
【肝臓機能の数値基準値以上なら注意】
AST > 44U/L
ALT >47U/L

FT3,FT4,TSHの結果だけでは以下の疾患の可能性を否定出来ない。

・無痛性甲状腺炎
・亜急性甲状腺炎
【基準値FT3&FT4は以上、TSHは以下で注意】
FT3 > 1.8ng/dl
FT4 >  4.5ng/ml
TSH < 0.3μU/mL

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つまり
FT3,FT4が基準値より高く【甲状腺ホルモンが沢山出ている状態】
TSHが基準値より低い場合【甲状腺刺激ホルモンが低下すると言う事はホルモンが出過ぎた状態】

は、バセドウ病の可能性90%、10%は甲状腺炎の可能性と言う事のようです。

バセドウ病のスクリーニング2.超音波検査
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甲状腺の状態を調べます。

痛みは全くありません。
時間も短時間で終了し体にやさしい検査です。

甲状腺の血流や甲状腺の大きさ、内部にしこりがないかどうかのチェックをする為に行います。
血液検査と超音波検査でバセドウ病の診断は付きますが、無症候性甲状腺炎との区別が付き難い場合はアイソトープ検査を追加で行います。

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バセドウ病のスクリーニング3.アイソトープ(放射線ヨウ素)検査
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甲状腺は食物などからヨウ素を取りこみ甲状腺ホルモンの合成に役立てています。
この性質を利用して、放射性ヨウ素を同じように甲状腺に取りこませます。
この検査から分かるのは下の2点です。
●甲状腺がどの位ヨウ素を取りこめるか…甲状腺機能チェック
●シンチグラムによる甲状腺疾患の診断

この検査は以下の人は受けられません。
●妊娠中、もしくは妊娠の可能性のある人
●授乳中の人
●一か月以内にアイソトープ検査を受けた事のある人
●一年以内に子宮卵管造影検査を受けた人

結果を正確にするため4日前からヨウ素を含む薬の服用の中止とヨウ素を含む食品の摂取を控えます。

アイソトープ検査|検査のご案内|伊藤病院 – 甲状腺疾患専門

バセドウ病のスクリーニング4.X線検査
これから後の検査は甲状腺を調べるというより、バセドウ病の合併症を調べる目的で行われます。

バセドウ病は常に全力疾走しているようなものなので、心臓に負担がかかり
不整脈・心房細動を起を起こしやすくなります。
また心房細動やバセドウ病の治療をしないままほおっておくと・心不全になり心臓の動きが悪くなります。
この状態をうっ血性心不全といいます。

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まずは心不全を起こしていないかどうか調べる為にX線撮影をして心臓が大きくなっていないかどうかを調べます。
心臓はポンプの力が弱まるとよりポンプを動かそうとして動くため心臓が大きくなります。
心肥大とも言いますが、この状態になるとよりポンプの力が弱くなり心不全を加速させます。

バセドウ病のスクリーニング5.心電図検査
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心臓の動き不整脈を調べます。

心臓の動きを記録します。
特に脈の波形などを調べたり、その波形で心臓の状態が分かります。

動悸を自覚症状として訴える場合は心電図で脈を調べます。
不整脈を見つける為の検査でどの種類の不整脈が出ているかを調べる目的ですが、心電図では数十秒の間しか心電図波形を取らない為、その時に不整脈が出ないと診断が付きません。
その場合は24時間ホルター心電図と呼ばれるもので検査します。
24時間体に装着するタイプの小型心電図で丸一日分の心電図を記録できます。

まとめ
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これらの検査結果からバセドウ病であると確定診断が出た段階で薬による治療か手術かアイソトープ治療かなどを検討されます。
合併症のある場合は平行して治療が行われますが、バセドウ病の炎症が鎮まると合併症も改善する可能性が大きく根気よく治療が続けられます。
どの治療が選択されても診察時には毎回血液検査で状態の把握をします。
それ以外のものは主治医の判断で選択されます。
病状を悪化させないための観察が大切でその手がかりになる血液の内容を調べる事が大切です。