眼球破裂とはどういう症状?知っておきたい予備知識と応急処置

スポーツのニュースでも、時々眼球破裂が話題になることがあります。眼球破裂とはどういうことで、どんな症状なのでしょうか?元のように治ることがあるのでしょうか?事故があって目を強打したら、誰でもが起こすかもしれない眼球破裂のまとめです。

眼球について
眼球の構造
眼球は強膜(きょうまく・鞏膜)で包まれていて、中はガラス体(硝子体)で満たされています。眼球の前方には透明な角膜と、レンズの働きをする水晶体があります。光は、角膜で大きく屈折して目に入って来た後、虹彩で光の量が調整されてから、水晶体に入って網膜上に物体の像を結びます。

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角膜
表面より上皮、ボーマン膜、固有質(実質)、デスメ膜、内皮の5層で構成されています。

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角膜は眼球の外膜の6分の1の面積を占める透明の部分で、5つの層で構成されています。眼球に入る光の入り口になっていて、光を大きく屈折させて眼球の中に届ける働きをしています。眼球の怪我や破裂で角膜が裂けると、角膜裂傷と呼ばれる症状になります。

水晶体と毛様体
水晶体(crystalline lens)
眼のレンズといわれ眼球内に入ってきた光線を屈折する働きと、毛様体によって厚さを変えられて 網膜像のを調節する働きを持っています。

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毛様体の筋肉の働きが水晶体の厚みを変化させて調節し、網膜にはっきりと像を結ぶようにピント を合わせています。毛様体は、眼球内に、角膜と水晶体の栄養に必要な房水を分泌する働きもしてます。

網膜
網膜(もうまく)には錐状体(すいじょうたい)と桿状体(かんじょうたい)と呼ばれる二種類の視細胞があって、光、色、形を感じるカメラのフィルムの働きをしています。網膜に到達した光が、脳で認識されるようになります。

硝子体
硝子体(しょうしたい)は眼球内の大部分を占めています。光を透過させるので無色透明なゲル状です。眼球の形を保って、外から眼球に加わる力から眼球を護る(まもる)働きをします。

硝子体は、卵白よりやや固いゼリー状の透明なゲルで、99%が水分です。網膜が損傷したり硝子体が出血したりすると、視力が極端に低下します。視野が狭くなったり部分的に欠けたりすることもあります。

強膜
強膜は眼球の外側にある白い不透明なかたい膜で、白目の部分にあたります。角膜と共に眼球の外枠を形成しています。強膜に損傷が起きるときには、目の外傷のなかでも重症であることが多く、酷い(ひどい)ときには眼球が破裂する強膜裂傷を起こすことがあります。

眼球の破裂
眼球が破裂する状態とは
外部から眼球に強い衝撃を受けて、角膜などが破裂した状態をさします。眼球内部の各種器官が露出した状態になるので、非常に危険です。

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眼球は角膜と強膜で外郭が形成されていて、眼球の機能が護られています。これらが損傷を受けて破裂すると、眼球の機能そのものが危険にさらされます。眼球破裂は、強膜裂傷と角膜裂傷を伴います。

眼球破裂は、眼球に強い鈍的(どんてき)あるいは鋭的(えいてき)外力がはたらき、角膜(かくまく)や強膜(きょうまく)が破裂した状態です。

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強膜裂傷
眼の構造物である角膜、強膜等の全層が切れてしまっている状態(裂傷)をいいます。

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強膜裂傷は、角膜裂傷に続いて起こることが多いと言われています。強膜裂傷が起こる程度によっては、虹彩脱出、毛様体脱出、硝子体脱出、外傷性白内障、硝子体出血、網膜損傷も起こるので、危険な状態になります。強膜は角膜よりも奥にあるので、強膜裂傷が起こると予後があまり良くないともされています。

角膜裂傷
角膜裂傷は眼外傷の一種で、軽微なものから失明に至るものまで様々です。

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角膜裂傷が起きた場合には、顕微鏡を使って角膜縫合の治療が行われることがあります。細菌感染の危険も高いとされています。眼球の内容物が外に出ないように、また眼球を圧迫しないようにして緊急に眼科を受診する必要があります。

眼球破裂の原因
外傷なので、原因となるシチュエーションはさまざまです。日常生活の中では主にスポーツやレジャーなど激しい運動をするような場合におきやすくなります。

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眼球が破裂するくらいの大きな衝撃を受けるのは、交通事故や労災などの勤務中の突発的な怪我が多いとされています。また、身近な例として、球場で観客にボールが当たった場合や学校の体育の授業中でも起こることがあります。怪我を負うような場合に、強い外力が眼球に加わったときに眼球破裂が起こるのです。

予期していないときに突然起こる怪我の場合には、本人が自分の身に何が起こったのか把握できないことが多いので、周囲に居る人の緊急の処置が必要です。

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眼球破裂の症状
眼球破裂の状態
黒目(角膜)の内側が真っ赤で、出血がひどくて、眼内の状態は不明です。
白目(結膜・強膜)も真っ赤で、結膜下出血と呼ばれる状態です。
診察してみると、反対の目に比べて、少し目が柔らかいようです(眼圧が低い)。
そんな時は、眼球破裂といって、目玉がパンクしてしまって、中身が漏れ出てしまった分、眼球が柔らかく(眼圧が低く)なっている可能性があります。

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受傷直後から生じる視力の低下、充血、浮腫、眼痛などです。孔(あな)があいた眼ではない反対の眼に影響が出ることもあるため、注意が必要です。

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眼球破裂ではまず、視力が急激に低下します。目が充血して腫れ上がってくる事がありますし、光や、風や埃などによる微かな衝撃にも、非常に敏感になっているので痛みが出ます。眼球を保護している角膜や強膜といった膜が破壊されているのですから、症状が酷くない場合でも、物が見えづらいとか眼の中の異物感は出ます。

眼球破裂では、痛みが無い場合もあります。ただし、視力は低下します。また、眼球破裂が片目だけであっても、残りのもう一方の眼球にも同じような痛みや視力低下などの症状が現れる事があります。

眼球破裂と眼球刺傷
ナイフなどの鋭利(えいり)な刃物で目を突いたり切ったりしたときは、ただちに手術のできる眼科医を受診しなければなりません。

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眼球が大怪我をするときは、眼球破裂のほかにも角膜刺傷や強膜刺傷が起きることがあります。先端の鋭利な物が角膜や強膜を傷つける場合です。刺し傷の強さによって損傷を受ける場所が違うので、障害が出る範囲も違ってきます。

刺傷の場合には、怪我をした目だけではなく、正常なもう片方の目に、交感性眼炎(こうかんせいがんえん)が起こって失明することがあります。適切な医師の治療が必要です。

眼球を打撲したときには
眼球にボールなどが当たったときにおこる目の外傷で、軽いものから重いものまであります。
目がぼやけたり、視野に見えないところができたりした場合は、すぐに眼科医の診察を受けてください。
眼球の中が出血していたり、眼球の後ろの視神経が損傷されていたりする場合には、入院して治療しなければなりません。

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眼球破裂の治療と予後
眼球破裂は緊急手術の対象であり、まずは眼球内容が脱出した状態を早急に修復しなければなりません。

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眼球破裂の場合には、手当てを開始するまでの1分1秒の差が予後の視力や目の機能を大きく左右すると言われています。裂傷を修復すると同時に、怪我のときに一緒に入り込んでしまった異物を取り除いたり、細菌感染を防ぐ治療を可能な限り早く的確に行うことが必要です。そのためには、眼球破裂が起きたら緊急で病院に行くことが重要です。

CT検査をしてから、損傷が軽度であれば医療用コンタクトレンズを使って傷口を自然治癒させることもあります。損傷が大きければ、合併症や他の菌の感染を防ぎながら局所麻酔や全身麻酔をして、強膜や角膜の縫合術が行なわれます。眼球破裂は、眼科で扱う外傷のなかでは一番重篤な症状だとされています。

目の中身が外に出てしまったりします。目の中の何が、どのくらい出てしまったかによって、予後は様々ですが、完全に元通り。なんてことはあり得ません。

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視力回復の可能性は、眼球の損傷の程度によります。良好な視力はあまり期待できないともされています。眼内炎を起こしたり、網膜が破れたり外に出てしまっている範囲が大きくて眼球内での障害が強い場合には、失明することが多くなります。

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眼球の血管の破裂
網膜下出血
結膜下出血とは、結膜下の小さい血管が破れて出血したもので、白目部分がべったりと赤く染まります。

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結膜下の出血なので、眼球内部には血液が入りませんから、視力が低下することもありません。少し目がゴロゴロする程度で、痛みも出ません。くしゃみ、咳、アルコールの摂り過ぎ、女性の月経、水中メガネの絞め過ぎなど、さまざまな原因で起こる出血です。

網膜下出血の症状
出血の範囲は、小さな点状のものから、眼球の結膜全体を覆う広範囲なものもあります。血腫になることもあります。痛み、かゆみ、目やになどの症状が出ないで、1~2週間くらいで自然に赤い箇所が消えることがほとんどです。ただし、2~3カ月ぐらいかかることもあります。ほとんどは心配する必要の無い出血です。

眼球の毛細血管の破裂
結膜下出血
角膜には血管はありませんが、結膜には毛細血管が多数存在しています。

結膜の下にある毛細血管が破れて出血した状態を〔結膜下出血〕といいます。

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結膜下出血は、目をぶつけたり、コンタクトレンズなどで強くこすったり、また、飲酒やストレスなども原因になって起きることのある出血です。出血量が多いときは白目が真っ赤になって、目がゴロゴロする異物感を感じることもありますが、痛みはありません。特別な治療をしなくても、1~2週間経てば赤みも取れて治ります。

眼球破裂のまとめ
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眼球破裂は、突然起こる事故などで誰にでも起きる可能性があります。眼球破裂が疑われるときには、とにかく緊急で手術ができる病院へ行く必要があります。